『生きている』 エッセイ - 暮らしの拾いもの Vol.17
03.14 2024
植物を育てることが苦手だと思って生きてきた。
一時期は生花を飾って、ドライフラワーにするのにハマっていたことはあるが、こまめに世話をして育てる植物は、ズボラな私には向いていないと思っていたのだ。
そんな私が、今年のはじめに初めて植物をお迎えした。
とってもベタだけど、ガジュマルである。
パートナーが植物好きでグリーンショップによく足を運ぶようになったり、仕事で植物をこよなく愛する人たちに話を聞く機会があったりして、自分でも育ててみたいという欲が人生で一番高まったのだ。
理想のガジュマルをしばらく探していたところ、ついに出会った。
むちむちとした両足を踏ん張ったかのような、どーんとたくましいやつ。
迎えたその日のうちに「たなか」と名付け、日当たりの悪い部屋のなるべく明るいところに置いた。
たなかには一週間に一度、たっぷりと水をやる。
案外手のかからない子なんだな、とちょっと拍子抜けしていたけれど、しばらく経つと、ちっちゃな葉っぱがぽこっと生えてきた。
赤ちゃんみたいなその葉っぱを見たとき、なんとも言えない喜びが込み上げるのを感じた。
生きてる。
たなかはちゃんと生きているのだ。
丁寧にお世話をすれば、植物は成長をもって応えてくれる。
それはある意味“答え合わせ”であり、きちんと成長が見られたときは、「これでよかったんだ」「自分でもできるんだ」と、私たち人間の自己肯定感にも繋がることに気が付いた。
それに、同じ空間に生きているものがいるのはありがたい。
一人のときも、寂しくないような気がするのだ。
疲れたらぼうっと眺めたり、一方的に「元気か〜」と話しかけたりする。
言葉は返ってこないけれど、乾いた土を見れば、ちゃんと水を吸収して生きていることがわかる。
植物を育てる喜びが、ちょっとずつわかってきた。
こんなふうに心が満たされるならと、もっと数や種類を増やしたい気持ちにもなったけれど、まだまだ私は植物ビギナー。
今はそれをぐっと抑えて、まずはたなかと丁寧に向き合っていこうと思う。
(おわり)
#暮らしの拾いものvol.16
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