『じつは嬉しいこと』 エッセイ - 暮らしの拾いもの Vol.26
12.20 2024
本格的に書く仕事を始めてから、フルネームをひらがな表記にした。
理由は、名前の漢字を正しく読んでもらえないことが多いから。
私の名前は「晶」と書いて、「あき」と読む。
小さい頃から、初めて教わる学校の先生に男の子と間違えられることも何度もあった。
だから、独立してフリーランスになってからは、ひらがなで名乗るようになった。
おかげで間違えられることはなくなったし、漢字に比べてやわらかい印象になるから、これはこれで気に入っている。
でもたまに、学生時代の友達や、何気なく名前の漢字を教えた人がメッセージの中で「晶ちゃん」、「晶さん」と書いてくれると、不思議と嬉しくなることに気が付いた。
名前は親からもらった最初のプレゼント、なんて言ったりもする。
実際、両親はいろいろ願いを込めて、この漢字をつけてくれたことを私は知っている。
変換された漢字を見て嬉しくなるのはたぶん、親からもらった名前を、ひいては自分自身の存在を尊重されている気がするからだと思う。
ライターでも何でもない、ひとりの人間である自分に引き戻されるような感覚。
本当は漢字の「晶」だって、自分にとってはすごくすごく大切なものなのだ。
相手に特別な意図がなかったとしてもいい。
自分ですらなかなか書かなくなった名前を、自分以外の誰かが覚えてくれている。
その事実が、私にとってささやかな支えになる。
そんなこと、相手に伝えたら逆に意識してしまいそうだから言わないけれど、メッセージが来るたびに、できればずっとそのまま覚えていてほしいなと願っている。
(おわり)
#暮らしの拾いものvol.25
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