『正反対、だから心地いい。』 エッセイ - 暮らしの拾いもの Vol.4

12.23 2022
一年間だけシェアハウスで暮らしていた頃、家には実にいろんな人がいた。
ただ数時間お話するのと一緒に暮らすのとではやっぱりワケが違って、こんなに人間って多様なんだな、と改めて身をもって知ることになった。

そのなかでも、とりわけ自分とは正反対の男性がいた。
年齢はたしか6つくらい上。
夏が大好きで、超ポジティブ。
あれこれ難しく考えないタイプで、誰とでもすぐに仲良くなれる。
仕事はバリバリやっているのに、どこか抜けていて、たまに人の話を聞いていなかったり、よく平日にうっかり朝方まで飲み歩いては絶望したりしていた。
一方で、わたしはネガティブで暑いのが大の苦手。
聞き上手と言われるけれど、人に気を遣いすぎるから大人数も苦手だし、頭の中はいつも考えごとでいっぱい。
お酒が好きなのは一緒だけど、朝まで飲むのは翌日のんびりできる日だけだ。
全然ちがうわたしたちだが、実は不思議と仲がよかった。
わたしは悩んだり仕事に追われたりするたびに、彼のあっけらかんとした陽気さに何度も救われたし、
彼の方も、突拍子もないことを話したいときや、珍しく落ち込んだときはいきなり散歩に誘ってきて、そのたび「あきちゃんがいてくれてよかった」と言ってくれた。

ネガティブなわたしだから、弱い部分を見せやすかったのかもしれない。
そうだとしたら、こういう性格も悪くないなと思ったりして。
正反対、だからこそ心地いい。
そんな関係もあるのだと教えてくれた彼にはこっそり感謝している。
(おわり)
#暮らしの拾いものvol.3
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