『迷ってばかり、だけど。』 エッセイ - 暮らしの拾いもの Vol.1

09.22 2022
23分。
これは今日、駅から徒歩8分のはずのカフェに辿り着くまでに かかった時間だ。

以前、仕事で方向音痴のチェックをしてもらったら、 偏差値80以上だった。つまり、だいぶ深刻。
専門家の先生が「1000人に1人並みのエリートですね」と、にこにこ笑っていた。
初めての場所を訪れる前夜は、どきどきして眠れない。
地図アプリを使っても迷うから、約束の40分前には着いて、ぐるぐる下見をする。

なじみのある場所でも、同じルートでしか辿り着けない。そして、帰り道ですでに迷ってる。ああ、なぜ。
迷うことなく、最短ルートで行けたらラクなのに。
でも、ふと思い出す。
迷ったその道の先では、だらだらした猫を見かけたり、

たまたまいい感じの本屋さんに出くわしたり、道を聞いたおばちゃんが親切に目的地まで連れていってくれたり。
なぜか野菜をもらったこともあった。
あれ、意外と得してない?
そういえば、わたしと旅をするとたいてい良いことがあると言われるのは、ささやかな自慢だ。
いろんな人が助けてくれるおかげで、 方向音痴はいっこうになおらないのだけど。
それはそれで、上手く付き合えたらハッピーな気がする。
迷ってばかりの人生って、案外豊かなのかもしれない。
(おわり)
#暮らしの拾いもの vol.2
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