
女性の「更年期」とは一般的に閉経前後の約10年間を指し、その期間は、閉経に向けてさまざまな症状が現れます。
そして「更年期障害」とは、更年期に起こるさまざまな不調の中でも、とくに症状が重く、日常生活に支障が出るほどの状態を指します。
「冷え性じゃないのに、最近手足が冷える」
「ときどき急に顔が熱くなって汗がふき出る・・・」
「肩こりがひどく、家事をこなすのがだるい」
そんなふうに思うことはありませんか?
それはもしかしたら「更年期障害」かもしれません。
こんにちは。
ていねい通販入社7年目の池田です。
私が大学生のとき、40代後半だった母との間で、こんなやりとりがありました。

ちょっと、お母さん!
今朝の話だけど、なんで早く起こしてくれなかったの?
遅刻しそうになったんだから・・・!

そんなこと言われても、最近朝起きるのがツライのよ・・・。

え?
お母さん、早起きが得意だったのにどうしたの?
どこか体調が悪いの?

実は最近、寝つきが悪いし、疲れがとれないの。
もしかしたら「更年期障害」かもしれないわ。

更年期障害?
何かの病気なの・・・?
母の口から出た「更年期障害」という言葉。
母の体調が心配になった私は、この更年期障害について調べてみることにしました。
ですが、当時はまだ学生だったので、そこまで詳しく調べることができませんでした・・・。
改めまして、こんにちは。
健康食品の通信販売の会社「ていねい通販」の池田です。
健康にかかわる会社で働く中で知ったこと。
それは、母親と同じような症状で悩んでいる人たちが、世の中にはたくさんいるということです。
そこで私は考えました。
「よし!私が更年期障害の正体について解き明かせば、たくさんの女性のお役に立てるかも!」。
学生時代の私は詳しく調べられなかったけれど、健康にかかわる会社に勤める今の私なら、きっとその正体を突き止められるはず!
というわけで、今回、更年期障害の正体を突き止めてみることにしました。
この記事では、更年期障害がもたらす不調の種類や、なぜ更年期障害は起こるのか?という原因について、専門家の先生を交えてお話しします。
ちなみに、更年期障害は中高年の方だけの症状ではなく、最近では20~30代の方にも起こる症状なんです!
すべての人に今回の記事を読んでいただければ、更年期障害に苦しむ女性の気持ちがわかる優しい社会になるはず!
それではまいりましょう!

高橋先生、本日はよろしくお願いします!

はい、池田さん、こちらこそよろしくお願いします。
今回のテーマである「更年期障害」。
これに悩む女性は多いんですよね。
そう、更年期障害は女性にとっては逃れられない話題。
今日はなぜ更年期障害が起こるのか?という原因と、その症状にどのように付き合っていけばいいのか?という対策について、できるだけわかりやすく解説したいと思います。

よろしくお願いします!
1.「更年期」とは、閉経前後の約10年間の期間のこと

まずは、「更年期障害」の前に、そもそも「更年期」とは何なのかを説明していきますね。
一般的に「更年期」とは、閉経前後の約10年間を指します。
閉経の年齢には個人差がありますが、50歳前後が多いので、更年期は45歳~55歳あたりの時期を指します。
そして、更年期に起こるさまざまな不調のことを「更年期障害」と呼びます。
以下は閉経の平均年齢に関するグラフです。
50~54歳までが一番多いのがわかりますね。
(引用:CiNii 論文 - 中年期女性における更年期症状と閉経に対する意識の実態)

ちなみに、お母さまが調子が悪いと仰っていたとき、年齢はおいくつでしたか?

ええと、今から4年くらい前だから・・・40代後半でした。

40代後半ですか、ちょうど「更年期」にあたる時期ですね。
どんな不調で悩んでらっしゃいましたか?

ある日突然「朝起きるのがツライ」と言い出して・・・。
そのほかにも、急に顔がほてったり、汗が止まらなかったりしたそうなんです・・・。
とてもツラそうでした。

なるほどです・・・。
おツライ状況だったと思います。

はい・・・。
ちなみに、母は現在50歳前半なので、先ほどの先生の話を踏まえると、今も更年期障害に悩まされているのかもしれません・・・。
大丈夫かな・・・?

そうですね・・・。
今も更年期障害で悩んでらっしゃるかもしれません。

実は、私の母だけでなく、ていねい通販にも更年期障害の症状で悩まれている方から相談がくることがあります。
●ていねい通販に寄せられた「更年期障害」に関する悩み
- 更年期の症状(頭痛・めまい・肩凝り・血圧不安定)がきつくて困っています。人混みに出るのも、趣味のお裁縫をするのも億劫で・・・ホントにどうしようもなくて。
- 更年期障害で悩んでいます。足は冷たいのに、上半身はまったく寒くない。少し歩いた後建物の中に入るとのぼせるほど顔が暑くなります。今年の夏はとても暑くて困りました。
- 更年期になったのか、疲れは取れないし、膝、腰、肩の凝りがひどく困っています。
- 更年期で悩んでいます。耳鳴りもひどくて・・・。
- 更年期なのかしんどいし眩暈もします。目の充血も気になります。
- 母が更年期で悩んでいます。寝起きが悪かったり、肩こりがひどいようです。

更年期障害の症状は人それぞれだから、不安な気持ちになる方も多いんです。
でも、大丈夫!
更年期障害の症状は対策次第で上手く乗り越えることもできますよ。

えっ!?
そうなんですか!?

はい。
ただ、何を改善するにしても、まずは敵を知ることが大切です。
というわけで、続けて、更年期障害になると、どんな不調が出るのか?をお話ししていきますね。
2.更年期障害の主な症状は?
「更年期障害」、すなわち「更年期」に起こる不調には以下のようなものがあります。
体の症状 |
---|
ほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)、だるさ、たちくらみ、めまい、疲れやすい、耳鳴り、動悸、息切れ、手足のしびれ、多汗、食欲不振、吐き気、知覚過敏、関節の痛み、手足の冷え、筋肉痛、からだのかゆみ、腰痛、肌・目・口の乾燥、肩こり、頭痛、尿トラブル、便秘、下痢、膣炎、胃もたれ |
心の症状 |
イライラ、不安感、恐怖感、不眠 |
この表にまとめたとおり、更年期障害の症状は本当にいろいろ。
そして、症状の現れ方は人それぞれなんです。
ちなみに、次のグラフは、更年期障害になった人が感じる不調のうち、とくによく見られる症状を順番に並べたものです。
(引用:日本女性医学学会、女性医学ガイドブック 更年期医療版、金原出版)
このグラフを見ればわかるように、50%近くの人が肩こりを感じ、胃もたれを感じる人も10%以上います。
肩こりと胃もたれ、両方で苦しむ人もいれば、特定の症状だけで苦しんでいる人もいるんです。
もし、上記のグラフに当てはまる症状があれば「更年期かも?」と疑ってみてください。
更年期障害かどうかを調べるためには、“月経の乱れ”が起きていないかをチェックする

さて、更年期障害が厄介なのは、さきほどあげた症状のように、“単なる疲れ”だと誤解されやすい点です。
だから、自分が更年期障害であっても見過ごしてしまいやすいんです。

そうですよね。
母もただ調子が悪いだけだと思っていたみたいで・・・。

そこでここからは、自分が更年期障害かどうかを判断するための方法をお教えします。
その方法とは、月経の乱れが続いていないかをチェックすることです。

月経の乱れ・・・?

はい、たとえば、以下のような月経の乱れが続いていると、更年期障害になっている可能性があります。
更年期障害につながる月経の乱れ
- 月経の「間隔」が短くなる
※月経の間隔は、25日~38日が一般的 - 月経の「長さ」が変動する(月経が長く続いたり、短くなったりする)
※月経の長さは、3日~7日で平均4.6日 - 出血量が変化する

更年期になると卵巣の機能が低下します。
その結果、月経の間隔が短くなったり、月経の長さが変動したり、出血量が変化したりするんです。
つまり、月経が乱れていないかを日頃からチェックしておけば、更年期に入ったかどうかをチェックできるんですね。

そうなんですね・・・!!

ただ、月経に関することはデリケートなので、親子でもなかなか言いづらいかもしれません。

た、たしかに・・・。

そのため、更年期障害による月経の乱れが出ても、誰にも言えずにひとりで悩む方が多いんです。

ううう・・・。
私もひとりで悩んでしまいそうです・・・。
それにしてもなぜ、更年期になると、月経をはじめとした体調の乱れが起こるんでしょうか?

池田さん、いい質問ですね。
では、ここから本題に切り込んでいきますね。
更年期になると体調が乱れる原因は、次にお話しするふたつの理由が関わっています。
それは「エストロゲンの減少」と「精神的なストレス」です。
3.更年期障害の大きな原因は「エストロゲンの減少」と「精神的なストレス」
3-1.更年期になると、女性ホルモン「エストロゲン」が急激に減少する!
先ほど、更年期になると卵巣の機能が低下するとお伝えしました。
卵巣の機能が低下すると、卵巣から分泌される女性ホルモン「エストロゲン(別名:卵胞ホルモン)」の分泌量が急激に減少します。
エストロゲンとは、女性が妊娠・出産するために欠かせないホルモン。
妊娠時に子宮内にできる“赤ちゃんが育つベッド”をふかふかにする役割があります。
また、それだけでなく、以下のような役割も担っています。
- 月経を起こす
- 女性らしい丸みを帯びた体を作る
- 感情の働きや脳の働きを整える
- 肌にツヤを与える
そんなエストロゲン(別名:卵胞ホルモン)の分泌量は、以下のグラフのように、年齢とともに変化していきます。
(出典:日本産科婦人科学会)
このグラフを見ていただければわかるように、エストロゲン(別名:卵胞ホルモン)は、更年期に差しかかる40代半ばから急激に減少しているのがわかります。
また実は、エストロゲンの量が減少するということは「脳の視床下部(ししょうかぶ)」のコントロールが利きにくくなっていることにつながります。
エストロゲンの分泌は、脳の視床下部という場所がコントロールしています。
視床下部とは、自律神経や体温などの調節を行っている場所で、サッカーなどのスポーツで例えるなら、チームを指揮する「司令塔」にあたります。
ですが、卵巣機能が低下していると、その司令塔としての動きが卵巣に伝わりにくくなります。
視床下部が「エストロゲンを分泌して」と卵巣に指令を出しても、分泌されにくくなってしまうんです。
そして、そのような状態が続くと、視床下部がパニックを起こし、自律神経のバランスが乱れます。
だから、のぼせや頭痛、肩こり、イライラなどのさまざまな症状が現れてしまうんです。
3-2.精神的なストレスにも大きく影響される!
そして、更年期障害の原因のふたつ目は、精神的なストレスです。
更年期の年齢の目安は、45~55歳。
まだまだ働き盛りだったり、子どもを育てている最中だったり、親の介護があったりと、仕事や家庭環境などのストレスにさらされがちです。
体の変化に精神的なストレスが重なると、自律神経のバランスが乱れやすくなってしまいます。
とくに、感受性の強い人や繊細な人ほど、ストレスをためやすく、更年期障害が重くなる傾向があります。
さて、ここまで、更年期障害の症状や原因についてお伝えしてきました。
でも、一番知りたいのは「今の自分(もしくは親)が更年期障害かどうか?」ですよね。
そこで続けて、自分が更年期障害かどうかをすぐにチェックできる「セルフチェックシート」を紹介します!
4.簡単!更年期障害セルフチェック
以下のシートは更年期障害の程度の強さを測るための、チェックシートです。
1番から10番までの症状に対し、自分がどれくらいの不調を感じているのかを、「強」「中」「弱」「無」の中から選び、該当の点数を右端の列に書き込んでください。
そして、それぞれの項目を合計した点数を、このチェックシート下部の「評価法」に照らし合わせてください。
症状 | 強 | 中 | 弱 | 無 | 点数 |
---|---|---|---|---|---|
① 顔がほてる | 10 |
6 |
3 |
0 |
|
②汗をかきやすい | 10 |
6 |
3 |
0 |
|
③腰や手足が冷えやすい | 14 |
9 |
5 |
0 |
|
④息切れ、動悸がする | 12 |
8 |
4 |
0 |
|
⑤寝つきが悪い、または眠りが浅い | 14 |
9 |
5 |
0 |
|
⑥怒りやすく、すぐイライラする | 12 |
8 |
4 |
0 |
|
⑦くよくよしたり、憂うつになることがある | 7 |
5 |
3 |
0 |
|
⑧頭痛、めまい、吐き気がよくある | 7 |
5 |
3 |
0 |
|
⑨疲れやすい | 7 |
4 |
2 |
0 |
|
⑩肩こり、腰痛、手足の痛みがある | 7 |
5 |
3 |
0 |
|
合計点 |
(簡略更年期指数・小山嵩夫ら 1992)
更年期指数の自己採点の評価法
- 0~25点 ・・・ 上手に更年期を過ごしています。これまでの生活態度を続けていいでしょう。
- 26~50点 ・・・ 食事、運動などに注意を払い、生活様式などにも無理をしないようにしましょう。
- 51~65点 ・・・ 医師の診察を受け、生活指導、カウンセリング、薬物療法を受けた方がいいでしょう。
- 66~80点 ・・・ 長期間(半年以上)の計画的な治療が必要でしょう。
- 81~100点 ・・・ 各科の精密検査を受け、更年期障害のみである場合は、専門医での長期的な対応が必要でしょう。
(出典:「女性の健康と働き方マニュアル」 NPO法人女性の健康とメノポーズ協会)
いかがでしたか?
高得点が出てしまった方は「自分の更年期障害はひどいのかも・・・」と不安になるかと思いますが、安心してください。
あとで更年期障害を乗り越えるための対処法を紹介します。

このチェックシートがあれば、自分が更年期障害かどうかをすぐに調べられますね・・・!
あの頃の母にも教えてあげたいです・・・。

私もこのチェックシートをたくさんの人が知ってくれることを願っています。
自分が更年期障害かどうかがわかるだけでも、生活のスタイルは変わってくるはずですから。
5.20~30代も!?若い人にも更年期障害の症状が!

さて、池田さん。
ここまで私は、更年期は45歳~55歳あたりの時期を指すとお伝えしてきましたが、実は最近、20~30代にも関わらず更年期障害の症状があらわれる人が増えているってご存じですか?

えっ・・・!?
20~30代なのに更年期障害なんですか・・・!?

はい、そうなんです。
実は最近、更年期障害の症状で苦しむ若い女性が増えているんです。
その症状は基本的には更年期障害とほとんど同じです。
ただ、月経が止まったりする場合もあります。
(20~30代の閉経は、遺伝的な要素もあるため、一概に更年期障害のような症状というわけではありません)
以下が20~30代の人の症状をまとめた表です。
体の症状 | |
---|---|
更年期障害と共有の症状 ほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)、だるさ、たちくらみ、めまい、疲れやすい、耳鳴り、動悸、息切れ、手足のしびれ、多汗、食欲不振、吐き気、知覚過敏、関節の痛み、手足の冷え、筋肉痛、からだのかゆみ、腰痛、肌・目・口の乾燥、肩こり、頭痛 |
プラスαの症状 月経が止まる |
心の症状 | |
更年期障害と共有の症状 イライラ、不安感、恐怖感、不眠 |

若いのにこんなにいろいろな症状で苦しんでしまうんですね・・・。
怖いです・・・。
若い人が更年期障害になる理由はなぜですか・・・?

女性ホルモンのバランスが崩れることが原因ですね。
無理なダイエットを続けたり、ストレスがたまる環境で不規則な生活を続けていると、女性ホルモンのバランスが崩れ、自律神経が乱れてしまうんです。

そうなんですか・・・。
若いうちは少々無茶なことをしてもたっぷり寝たら大丈夫だと思っていましたが、無茶しすぎるのもよくないんですね・・・。
私も気を付けないと・・・。
【プチコラム】
女性だけじゃなかった!男性にも更年期障害がある!
実は更年期障害で悩んでいるのは女性だけではありません。
なぜなら、男性にも更年期障害があるからなんです!
女性の場合は年を重ねるとエストロゲンが減少しますが、男性の場合は男性ホルモン「テストステロン」が減少していきます。
テストステロンとは、男性が若々しさを保つために必要なホルモンです。
たとえば、テストステロンは以下のような働きをしてくれます。
- 骨や筋肉を強化する
- 生殖機能を向上する
- 決断力や判断力を高める
このテストステロンは、40~60代にかけてゆるやかに減少していきます。
そのため、症状の現れ方が女性に比べてゆるやかになり、自分が更年期障害になったことを自覚しにくいんです。
基本的に、男性の更年期障害の症状は女性と同じです。
ただ、男性の場合は脱毛やED(勃起機能の低下)などの心配も起こります。
また、テストステロンはやる気につながるホルモンなので「仕事も趣味も急にやる気が失せた」という心理状態になってしまうこともあります。
以下の表に、男性の更年期障害の主な症状をまとめておきました。
体の症状 | |
---|---|
更年期障害と共有の症状 ほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)、だるさ、たちくらみ、めまい、疲れやすい、耳鳴り、動悸、息切れ、手足のしびれ、多汗、食欲不振、吐き気、知覚過敏、関節の痛み、手足の冷え、筋肉痛、からだのかゆみ、腰痛、肌・目・口の乾燥、肩こり、頭痛、尿トラブル、便秘、下痢 |
プラスαの症状 脱毛、ED、前立腺肥大 |
心の症状 | |
更年期障害と共有の症状 イライラ、不安感、恐怖感、不眠 |
プラスαの症状 気力や意欲がなくなる、性欲の低下 |
6.更年期をうまく乗り切りましょう

男性にも更年期障害があるなんて・・・。
お父さん・・・大丈夫かな?
両親にはずっと元気でいてほしいです!
先生、更年期を快適に過ごす方法はありませんか?

わかりました。
更年期を乗り越えるコツは、“更年期とは誰もが通る道である”と前向きに受け止めること。
先ほどもお伝えしましたが、更年期障害の症状の重さは、その人の性格も関係してきます。
だから、必要以上に不安になるのではなく、ツライときは無理せず体を休め、リラックスを心がけることが大事です。

なるほど、前向きにとらえるのがいいんですね。
よく「病は気から」って言いますものね・・・。

そして、前向きに気持ちをもったあとは、具体的な方法として、ホルモンを増やす(補う)ことをオススメします。
女性の場合は女性ホルモン、男性の場合は男性ホルモンですね。

ホルモンを増やす・・・?

はい。
実は「食事」「運動」「睡眠」の3つに気を配るだけでも、ホルモンは増やすことができるんです。
続けてお話していきますね。
食事・運動・睡眠に気をつかえば、更年期障害の症状は改善できる!
更年期障害の症状は、日常生活における「食事」「運動」「睡眠」を工夫することでうまく乗り越えることができます。
食事
女性ホルモンを増やすには、納豆や豆腐、豆乳など「大豆・大豆製品」を積極的に取るようにしましょう。
●イソフラボンを多く含む食品 | |||
---|---|---|---|
大豆 | 煮大豆 | 揚げ大 | 豆 |
黄粉 | 豆腐 | おから | 味噌、金山寺みそ |
油揚げ類、がんもどき | 納豆 | 豆乳 | 醤油 |
男性の場合は、男性ホルモンを増やす「亜鉛」を取るのがオススメです。
牡蠣やしじみなどに多く含まれています。
●亜鉛を多く含む食品 | |||
---|---|---|---|
牡蠣 | 赤身の肉 | 鶏肉 | レバー |
カニやロブスターなどの魚介類 | うなぎ | 乳製品 | 藻類 |
朝食用栄養強化シリアル類 | 豆類 | ナッツ類 | 全粒穀類 |
運動
運動には、ストレスを解消する効果だけでなく、ホルモンを増やす効果があります。
無理なくできるウォーキングやストレッチなどの「有酸素運動」を取り入れてください。
●有酸素運動の種類 | |||
---|---|---|---|
ウォーキング | ジョギング | ランニング | サイクリング |
水泳 | エアロビクスダンスエクササイズ | ノルディックウォーキング | クロスカントリースキー |
なわとび | 階段昇降 | ラジオ体操 | ヨガ・ピラティス |
睡眠
質のよい睡眠は、女性ホルモンや男性ホルモンはもちろん、若さを保つ「成長ホルモン」の分泌も増やします。
夜はできれば22時(午後10時)か、遅くとも24時(午後12時)までには寝るように心がけましょう。

もし、生活習慣を改善しても、ツライ症状がずっと続く場合は、医療機関へ相談してください。

わかりました。
早速、両親と一緒にライフスタイルを見直していきます!
あ、もし医療機関へ相談する場合は何科に行けばいいんでしょうか?

たとえば、更年期に詳しい「婦人科クリニック」や、更年期の専門医が診察する「更年期外来」、女性の全身をトータルで診察する「女性外来」の受診がオススメです。
男性なら、「更年期外来」や「メンズヘルスクリニック」がいいと思います。
そういった医療機関が近くにない場合は、自分が困っている症状に合わせて「内科」や「泌尿器内科」「精神科」「心療内科」などを受診するといいですよ。

「更年期外来」っていう診療科があるんですね・・・!
更年期の専門医がいるって、なんだか頼もしいです。

そうですね。
ちなみに、更年期障害を本格的に治療する場合、以下のような方法を用いることがあります。
- 薬物療法
- 心理療法
以下の表にそれぞれの治療法についてまとめてみました。
治療方法 | 薬による副作用 | 治療費の目安 | |
---|---|---|---|
薬物療法 | ホルモン補充療法(HRT) 減少したエストロゲンを補充する療法です。 ホットフラッシュや動悸などの改善に効果があります。 ●使用する薬の例: 経口剤、経皮剤、エストロゲンの貼り薬と塗り薬、エストロゲンとプロゲステロンを配合した貼り薬 |
不正出血、乳房のハリや痛み、おりもの、下腹部のハリ、吐き気 、乳がん、子宮体がん ※5年以上のHRTは、わずかに乳がんの発症率が上昇することがある。 エストロゲンと黄体ホルモンを同時に服用すれば、子宮体がん発症率が高くなることはない。 |
【保険適用の場合】 診察料1,000円+薬代(3ヶ月分 ) 1,500~2,500円 【保険適用外の場合】 塗り薬 月3,000~5000円 低用量ピル 月2,500~4,000円 |
漢方薬 血液やリンパ液など、体全体のバランスを整えることで、症状を改善する効果があります。 ホルモン補充療法(HRT)ができない場合などに用いられます。 ●使用する漢方薬の例: 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、加味帰脾湯(かみきひとう)、加味逍遙散(かみしょうようさん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) |
間質性肺炎、発疹、発赤、そう痒、蕁麻疹、偽アルドステロン症、ミオパチー、腸間膜静脈硬化症、肝機能異常、食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢など ※漢方薬により、副作用の症状は異なる。 |
【保険適用の場合】 月3,000円以下 (薬によって異なります) |
|
抗うつ薬・抗不安薬 うつや不安などの心の症状が強い場合に有効です。 ホルモン補充療法(HRT)ができない場合などに用いられます。 ●抗うつ薬・抗不安薬の例: 選択制セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ剤(NaSSA)など |
多汗、情緒不安、ふらつき、熱感、吐き気 ※体が薬に慣れると、副作用が落ち着くことが多い。 |
【保険適用の場合】 月1,000円以下 (薬によって異なります) |
|
心理療法 | カウンセリング うつや不安が強い場合、ホルモンの影響なのか、ストレスの影響なのか判断するときに効果的です。 |
- |
臨床心理士によるカウンセリング 6,000~10,000円/1時間 |

また、自分では更年期障害と思っていても、実はほかの病気だった、という可能性もあります。
気になる場合は、自己判断せず病院に行って相談してくださいね。
●更年期障害と間違えやすい病気と症状
- 子宮がん(子宮体がん・子宮頚がん) ・・・ 月経不順、不正出血
- バセドウ病 ・・・ ほてりやのぼせ、発汗といった症状のほかに、下痢や体重の減少、疲労感、手の震え、苛々など
- うつ病 ・・・ 症状全般
- 肝機能障害 ・・・ 倦怠感、意欲低下
- 貧血 ・・・ 動悸、倦怠感、意欲低下
- メニエール病 ・・・ めまい
- 関節リウマチ ・・・ 指のこわばり
- 脳腫瘍、薬剤誘発性頭痛 ・・・ 頭痛
- 変形性膝関節症 ・・・ 膝痛
- 糖尿病 ・・・ 倦怠感、立ちくらみ、手足のしびれ
- 橋本病 ・・・ 食欲不振・頭重感・めまい・動悸・息切れ・ふらつき・不眠・冷感・のぼせなど

ここまで詳しく教えていただけたら安心しました。
両親が更年期を快適に過ごせるように、今回教えてもらった知識を親にも伝えたいと思います!
まずはお母さんに納豆を勧めます!
・・・あ、でも、お母さん納豆苦手だったな・・・。

たとえば、苦手な食事があるのであれば、サプリメントを勧める方法もありますね。
サプリメントなら好き嫌いなく、いろいろな栄養素を摂れます。
たとえば「イソフラボン」「エクオール」「サポニン」などを摂取できるサプリメントはオススメです。

「イソフラボン」「エクオール」「サポニン」・・・。
憶えておきます!
先生、本日は本当にありがとうございました!
- 話者:
- 高橋しづこ先生(産婦人科医)、池田みゆき(ていねい通販)
- 監修:
- 高橋しづこ先生(産婦人科医)